『6度目の大絶滅』 地球上の生物に忍び寄る脅威
極寒の海に潜ったり、コウモリが冬眠する廃坑や洞窟に入ったり、夜のグレートバリアリーフで方向を見失ったり、絶滅種の痕跡と絶滅危惧種を追い求めて著者は世界中を飛び回る。その過程で彼女はある考えに思い至る。現在地球上で「6度目の大絶滅」が進行しているというのだ。
これまで地球上では「ビックファイブ」と呼ばれる大規模な生物の絶滅が5回おきたといわれている。旅を通じて著者は現在「6度目の大絶滅」が進行しており、その張本人は我々人類に他ならないと指摘する。
しかし著者はその処方箋を説くわけではない。必要以上に危機を煽ることもない。ジャーナリストとして現場で目撃してきたことを客観的に報告するだけだ。ある意味本書を通じて、一人ひとりの読者に問題意識を芽生えさせ、それとじっくり向きあうきっかけを提供しているようにも思える。