『フューチャー・オブ・マインド―心の未来を科学する』SFの世界がすぐそこに
著者のミチオ・カク教授は理論物理学の世界的権威で、サイエンス・ノンフィクション作家としても広く知られている。本書はそんな教授による、近年の脳科学の驚異的な進歩や研究者へのインタビューをもとに「心」の仕組みや働きを鮮明に描き出した一冊だ。
本書のなかで教授は、テレパシーや念力など一見SFの世界でしか成立しないと思わせる現象も、脳科学の進展を観察するかぎり十分実現可能であると断言する。
たとえば念力の可能性について、仮に脳卒中や脊髄損傷などで身体が麻痺し、筋肉や身体機能のコントロールができなくなった人がいた場合、その人の脳の表面に4ミリのチップをのせ、導線でコンピュータにつなぎ、脳から発せられたシグナルをコンピュータを介した機械のロボットアームに伝えることができる。これはブレインマシーンインターフェース(BMI)と呼ばれ近年注目をあびているという。