ざっくりノンフィクション

最近読んだ本をざっくり紹介。ノンフィクション中心。

『探求――エネルギーの世紀 [普及版]上・下』 エネルギー史を概観する

探求――エネルギーの世紀 [普及版]上

探求――エネルギーの世紀 [普及版]上

 
探求――エネルギーの世紀 [普及版]下

探求――エネルギーの世紀 [普及版]下

 

原油価格の下落が止まらない。2011年〜14年前半まで1バレル=100ドルという高値圏での安定相場が続いていた原油価格は、14年後半に突如下落が始まり、15年1月に50ドルを下回り、16年1月には一時20ドル後半に達した。

直接的な原因についてはニュースや専門家の解説を参考にすればいい。しかし、その背景を含めた根本的な理由(そもそもエネルギーとは何か、人類はエネルギーにどう向き合ってきたか、そしてエネルギーを取り巻く環境は今後どう変化するか等)も把握したければ、本書にあたるのが最適かもしれない。

著者は冒頭で3つの問題提起をする。

①成長する世界の需要を満たすだけのエネルギーは今後もまかなわれるか?

②世界が依存しているエネルギー・システムの安全保障はどのように護られるのか?

③気候変動などの環境問題はエネルギーの未来にどのような影響を及ぼし、逆にエネルギー開発は環境にどう影響するか?

これらに対して入念な調査と客観的なデータをもとに、一つひとつ著者が答えていくかたちで本書は進行する。上下二冊だが翻訳もすばらしく一気に読める。