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ざっくりノンフィクション

個人的おすすめ本をざっくり紹介。ノンフィクション中心。

『ブロックチェーン・レボリューション』情報革命から信頼革命へ

インターネットが情報革命によって人々の生活を一変させてしまったことは、疑いようのない事実だろう。そしていま、そのインターネットのインパクトに匹敵するような新たな革命がはじまろうとしている。著名な企業家、投資家、技術者、専門家、政府関係者らが「社会の全分野に影響を及ぼす」と口をそろえるその技術は、ブロックチェーンと呼ばれている。

ブロックチェーンとは、あらゆる取引が記録された世界規模の帳簿のようなもので、大規模なP2Pネットワーク(サーバーを介さず、個々の参加者が対等な立場で直接やりとりするネットワーク)に支えられた技術を指す。

特徴は大きく3つある。まず分散されていること。中心となるデータベースが存在せず、世界中の参加者たちのコンピューターで動いているので、たとえ1台がおかしくなってもシステム全体に影響は及ばない。第二はパブリックであること。データベースがネットワーク上にあるので、いつでも誰でも自由に見られるし、データの正しさも検証可能だ。第三は暗号技術を利用した高度なセキュリティが備わっていること。公開鍵と秘密鍵という2種類の鍵を利用するので、データ流出・盗用・改ざんの恐れとは無縁だ。

ではこのブロックチェーンによって、社会のどの分野にどのような変化が起こりうるのか。本書の目的は、まさにその点を明らかにすることにある。たとえば次のような事例が紹介されている。「本物のシェアリング・エコノミーがやってくる」「金融業界に競争とイノベーションが生まれる」「財産権が確実にデータ化される」「送金が安く、早く、簡単になる」「支援金が必要な人に確実に届く」「クリエーターが作品の対価を受けとれる」「会社の形態が進化する」「モノが自分で動くようになる」「小さな企業がどんどん生まれる」「政治が人びとのものになる」

これだけ見るとブロックチェーンがもたらす未来は、いいことずくめに思えるかもしれない。しかし一方でブロックチェーンには乗り越えるべき障壁も多く存在する。技術が成熟していないし、使いやすいアプリケーションも出揃っていないし、取引を承認する度にマシンパワーを消費するのは、エネルギー浪費だとしてブロックチェーンの仕組み自体に対する批判さえ出ている。

それでも、ブロックチェーンは世界をより豊かにするはずだ、と本書は楽観的な立場をとっている。社会と経済に主体的に参加できる手段、財産を安全に保管・移動できる基本的な金融サービスへのアクセス、土地や財産の所有権が正当に守られる制度など、人が豊かに生きるために必要最低限なものをもたらしてくれるからだ。もちろん、それは各分野のリーダーをはじめとする私たち一人ひとりによってブロックチェーンが正しく理解され、正しい方向に導かれて、はじめて訪れる未来である。