読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ざっくりノンフィクション

個人的おすすめ本をざっくり紹介。ノンフィクション中心。

『宇宙エレベーター その実現性を探る』気軽に宇宙に行ける日はくるか

宇宙エレベーター その実現性を探る(祥伝社新書)

宇宙エレベーター その実現性を探る(祥伝社新書)

 

エレベーターと同じようにケーブルを使って宇宙に行くというアイディアがある。「宇宙エレベーター」と呼ばれるもので、一度はSFやアニメで目にした人も多いかもしれない。簡単にしくみを説明すると、宇宙エレベーターはケーブル、クライマー、海上ステーション、静止軌道ステーションから構成されている。鉄道に例えると、ケーブルがレール、クライマーが車両、海上ステーションや静止軌道ステーションが駅に相当する。

ところで、宇宙エレベーターの実現性については、「10年後」「50年後」「そもそも実現は不可能だ」など、意見はさまざまに分かれている。ケーブルの材料とクライマーの動力源という2つが、実現を阻む大きな壁として研究者を悩ませ続けてきたからだ。

しかし、ケーブルにはカーボンナノチューブが、動力源にはマイクロ波による無線電力伝送やレーザーによるエネルギー伝送が、それらの壁を破れるのではないかと期待されている。とはいえ、まだまだ実現に向けたハードルは高い。たとえば宇宙エレベーターのケーブルの長さにするには、10万キロにする必要があるものの、現在のカーボンナノチューブは最長数センチにしかできないという。他にも、スペースデブリ、海上ステーションや静止軌道ステーションの制御、宇宙空間の法律や安全保障など課題は尽きない。それでも、地道な実証実験や新しい技術のブレイクスルーによって乗り越えられるはずだと著者は期待を寄せている。

このように本書は、可能性を秘めた最新テクノロジー、実現を阻む技術的・法律的な壁、それらを突破するために必要な事を網羅して、宇宙エレベーターの実現性をさまざまな角度から検証している。また宇宙エレベーターの最前線についても、CSRの一環として宇宙エレベーター構想を立ち上げた大林組JAXA宇宙航空研究開発機構)やJAMSS(有人宇宙システム株式会社)といった関係者にインタビューを行っている。まさに宇宙エレベーターの入門書として最適ではないだろうか。